「ええっと、あれとこれとっ てね」とウィジュさんが嬉しそうに言います。
私はウィジュさんと共に買い物に出かけました。
とはいっても、買うものといっても「元気玉」と野宿用の「テント」ですが。
後の食事は「釣り」と「狩り」でなんとかします。
「ウィジュさんってどんな能力があるんですか?」
「ん?能力と入っても私、まだまだ下っ端の方だからあまり攻撃的なものは出来ないわよ?ただ、得意な能力はなにか物を移動させたり、天候を操る・・・ぐらいかしらね」
「それでも凄かったです」
「うん、でもやっぱりシン様がいうようにコントロールが上手くいかないんだけどね」
「そうなんですか・・・。そういえばあの声は・・・」と呟いたら、ウィジュさんは人差し指で私の口を制止してきました。
「それは 秘・密!」
そう言い、大量のテントを持ちながらウィジュさんは微笑みます。
「それはないですよぅ・・・」
「でも呪砲のチカラを吹き飛ばすのだけは無理だった。貴方たちが1年前に帝都へ向かっているときに一度だけやってみたのよ。結果は効果なし。やっぱり呪砲のニエの「想う力」の作用が著しく強いからかもしれないけど」
「それでもチャンパは復活しましたし、セネスタも・・・。だからその森も・・・」
にっこりとウィジュさんは微笑んできました。
「その森も、復活するのでは と考えているのね、ニーナは」
ええ と私は頷きます。
「相手は「森」よ。森はいろんなヒトの「想い」を吸い込むことが出来るわ。「憎しみ」も「悲しみ」、「楽しかった」ことや「寂しかったこと」・・・全てをね」
「森なら声が響くというのも?」
「そうよ。それが道を防いでいる原因なのよ。でも、そこまで心配することはないと思う。あのお方がいられるのなら、簡単に抜けられるわ」
「カイルさんは一体どんな能力を・・・?」
「私たち生命を還元させる能力、再生と言ったほうがいいのかしら」
「・・・再生」
「そうよ。時間はかなりかかるけど、死んでしまった生命も星も再生することが出来るらしいの」
「凄いですね・・・」
「でもそれなりの理由がないと使うことはしないわ。そうやって制限しなければ、あの人ぶっ倒れまくるわ」
確かに と私は苦笑しました。
何かと私と似ているところがカイルさんにはあります。例えば無茶したりとか。
「でも星の民でも優しいんですね、カイルさん」
「でももっとあの人が優しくしてるのは・・・貴方だと私は思うわ、ニーナ」
私たちは目的地を目指して、歩いていきます。
前を見つめ、前に進んでいきます。
姉様の生命は還元されて・・・そしていつかはまた帰ってくる。
そうシンさんが言ってくれました。
それを信じて私は歩き続けます。
それが、どんな運命を辿っていたとしても、大丈夫です。
そんな自信が・・今の私にはありました。
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