月があんなに遠くに見える・・。

もう一年の歳月か と己のみに呟いた。

だれもいない、皇城に私だけのみがいる。

「神」とうつろう者らに呼ばれ、ついには抹殺されそうになった。

人は無知だ。

私など、到底倒せないのを知りつつ、ここまでくるのだから。

チリン と音が鳴いた。



何を止めようとしている?

何を止めさせようとしている?

私は止まらない。

私は止まれないのに。



「何を・・・」

私は「ソレ」に言う。

「何を望んでいる・・?」

利用されても利用されても その音は鳴くのを止めない。

「何も望むな、私は生きている」

それだけで十分だろう?

それ以上もそれ以下もない。

ただ・・・あの娘は。

ぽたり と「半身」が悲しみの雫を落とす。

「泣くな、「半身」」

もう泣くことはない。

あの娘は、私たちの「流れ」に乗っただけ。

うつろう者は 我ら、うつろわざる者の心など到底知らない。



月が出ている。

その中央に私は立つ。



失った報いと失ったココロを直す為。

私は翼を広げ、北東へ飛んでいく。



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