迷った。否、迷ってしまった。
それはシュークからウィンディアに行こうとしている山地だった。
だが、周りを見渡すと・・・雪 雪 雪・・。
はぁ・・ と己の学習能力の乏しさに溜息をつく。
やはり山地を一直線に抜けるのは私でも少々難易な事だったようだ。
だが、時既に遅く。
さらに、雪がさんさんと降り注ぎ 雪粒は道を凍らせている。
さらに己が立っている場所はかなりの急斜面なので、いつ雪崩がくるかは分からないという危険が多い場所にいる。
少し・・不運だ。
いや、少しどころではないな と自分に対して苦笑した。
その時だった。ふと明かりが見えた。
「・・町か・・?」
明かりがあるというのならば人が住んでいる可能性が高い。
そう思って、そこに向かって私は歩き続ける。
とにかくここは危険だ。
何とかして安全性の高い場所へ移動しなければならない。
そこが安全なのかは分からないが。
* * * * * *
「星の・・民ですか?」
ああ、とフィーズさんは言いました。
ぱらり ぱらり と本を広げます。
「星の民一族・・「うつろう者」でもあり「うつろわざる者」でもあり、真逆に言うとどちらでもない存在。それが星の民一族」
ぱらり ぱらり と本のページを進みます。
「これはね、『星の民物語』という話を・・・彼らの暦を綴った本なのだよ。そして自然に更新されていくんだ」
「古いですね・・・」
そう。何百年も前から何百人の人たちが、読みつくされた跡が本の所々にありました。
「星の民一族は、世界・・いや。このホシを守る管轄者なんだ」
「ホシ・・お空の上にある星たちですか?」
「いや。それはほんの一つの魂。私の言っているホシというのは、この世界と同じような世界のことなんだ」
それを聞いて ほー と思いました。
「では、私たちのような人たちもいるのですね」
うん とフィーズさんは頷きます。
「星の民、彼らは「神」ではないみたいなんだ」
「・・「神」ではないのですか・・?」
「人に懐き、その人たちとそのホシに住んでいる人たちのために頑張る働き者のような存在・・」
「では・・この世界にも・・その星の民さんが・・?」
「でも・・・彼らは人に見つかることを嫌うみたいなんだ。それでも、君たちをここまで飛ばしたのもその星の民の可能性が高いようだよ?」
「彼らが!?」
「「神」の力を持ち、己は神ではないという一族・・それが星の民・・」
そう考えてみると一つ疑問が残る。
「では何故、彼らは「神」を倒そうとはしないのですか?」
「それは―」
どっこぉぉぉぉぉん!!!と、突然外から大きな音がしました。
それは・・・「爆発音!?」
「外で何かあったみたいだね・・」
「私が見に行ってみます」
羽を広げ、私は外へといってみました。
そして私が見たものは。
「ひゃあ・・、だ・・大丈夫ですか!?怪我はしていませんか!?」
黒い髪の人がいました。
その人がふわりといいます。
「怪我はしていないが・・・ここは戦でもやっているのか?」
どうやらマスターが「敵」だと悟り、突然攻撃を仕掛けたようです。
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