あの時、真っ暗になった後 私の目には日が差し込んできました。
そこは「うつろわざる者」の存在を知ったリュクの村でした。
チェクの長老さん(フィーズさんといいます)は、ぼろぼろになっていた私たちを介抱してくれました。
全ての経緯を話すと、フィーズさんは言いました。
「そうか・・辛かったろう。でも・・」
私たちを見渡し、言葉を続けます。
「それでも、君たちは・・「うつろわざる者」に再び関わるのかい?あんな目にあったのに、ここで関わりを終わらせることが出来るというのに」
わたしはとっさに答えました。
「でも・・私は『リュカ』が心配なんです。何とかして彼に会わないと―」
しかし兄様は違ってました。
「ニーナ・・。もう『リュカ』に関わるのは止めよう」
「!! 兄様!!」
兄様の言葉を支えるかのようにアースラさんが自分なりの答えを言います。
「私たちは深く関わりすぎだ。幸い、奴は皇城から出ないことだし」
「私はどちらでも、と言ってます。まぁ、私もどちらでもかまいません。一応は「うつろわざる者」ですしね」
ディースさんを中に取り込んでいるマスターも言いました。
でも・・。
わたしは「うつろう者」だから?
だから関わってはいけないの?
俯く私に対し、フィーズさんはぽん、と軽く肩をたたきました。
「まだ時間はある。少し考えた方がいいよ。それに、考え込むのなら、このリュクを復興するのを手伝って欲しいんだ。よろしく頼むよ」
「・・はい」
そして私は皆と別れました。
兄様は砂船の管理の為、シェドへ。
サイアスさんは戦に呼び出され、ルディアへ(欲望たっぷりだったイゴーリは逃げたらしいです)。
アースラさんは部下と隊長が心配だった為、ハシビトの町へ。
そして私とマスターは ここ、チェクの村に残り、復興の手伝いです。
あれから1年が経ちました。
皆元気にやっているのでしょうか。
そして・・・『リュカ』は・・・?
空高く雪が舞い降りてきます。
それを見上げ、ふと考えて見ました。
私たちはコレを見上げ旅をしていました。
そして夜に色々と語り合いました。
そこには「うつろう者」も「うつろわざる者」もいませんでした。
ただ、仲間として。
ただ、想い人として。
共に過ごしました。
しかし・・・。それもすぐに崩れ落ちました。
「結論は出たかい?ニーナ」
ふわりと雪の中に溶け込むようにフィーズさんは問い詰めてきます。
「私は・・・」
そう言いかけて。俯きます。
「ごめんなさい・・。まだ結論は出ません」
私は何を戸惑っているのでしょうか?
何も戸惑わなくてもすぐに君の所へ行けばいいのに。
でも。あの時の君を見ると、なにかを失ったような瞳で私を見つめて。
何かを思い出したくない衝動のような狂いさで。
私を・・・貴方は壊そうとしました。
未だに戸惑っている私を見て、フィーズさんは言いました。
「・・・ニーナ 一ついいことを教えてあげるよ」
それはまだ雪が積もり積もる・・・とても寒い日でした。
私は「星の民」という「神であり神ではない存在」を知ることになります。
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