「ここ・・なのか?」

「ここ以外に何があるって言うのよ!?」

小さな洞窟か遺跡のような所に二人の男と女がいた。



そこは砂漠の中にある遺跡だった。

「幽霊とか出たら・・俺逃げるからな」

「ふーんロック、幽霊怖いんだ〜」

「ち・・違う・・」

「幽霊ぐらい、このミント様に任せてよ!ほらほら入るわよ」

とロックを急かすのだった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「・・・ライル・・大丈夫」

そう言ったのは緑色の髪をした女性、ティナである。

「・・わい・・怖い・・」

先日、ミントとロックがトレージャーハンターをしに行った時から

ライルの調子が悪くなり そして眠っている時は悪夢を見ることが多くなった。

「大丈夫・・・私がいるから」

そう言ってティナは頭をそっと撫でるしかなかった。





日差しのお陰で目が覚めたのか、ライルは起きていた。

「おはよう・・えっと」

「ティナでいいわ」

とにっこりと微笑むティナ。

「ティナお姉ちゃん・・ミントさん・・遅いね」

と、目が覚めたばかりのライルは惚けた事を言うので「ロックがミントさんの邪魔をしてなければいいけどね」と、くすくすと笑った。

「その間・・何してる?」

「うーん・・そうだ!ティナお姉ちゃんって魔法使えるの?」

魔法・・それは特定の呪文を言葉にすれば発動するモノ。

「何故それを覚えたいの?」

ティナの中では不安 という文字を頭の中で連想させた。

「ミントさんと一緒に世界中を回りたいから・・・あまり世話を掛けたくないし・・・。それに、武器なんて私には持てないから」

そっか と小さな声で言う。

「そんな人がいたなぁ・・・一緒に旅をした仲間で・・・」

私と同じで違う存在。

今は幸せな生活を過ごしている優しき仲間の一人。

「・・・仲間、欲しいなぁ」

「もう仲間がいわよ?ライル。私達が貴方の仲間・・親友よ?」

「ホント!?」

「ええ、そうよ」

と可愛らしい笑みを浮かべるライルに、にっこりと微笑むティナであった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「ちょっとちょっとぉぉ! 何してるのよぉぉ きゃあ!!」といい、躓くミント。

「んなとこいっても・・・お前何とかしろよ!」

「うう・・・なんとかしろよといわれても」

周りには10体の魔物がいた。

後ろも前も右も左も逃げられない。

「分かったわよ!得意な魔法でこいつらじゃんじゃん倒して差し上げますわ!」

「なんか口調がどんどん酷くなっているような・・・」

「なんか言った?」

「いえ、とんでもありません。どうぞよろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げたロックと少し切れそうなミントの周囲に光の玉が何十個も作られ、その光が敵に体当たりしていった。

「おぉ!すげー」

「って言っている間に攻撃ヨロシク!」

「へいへい・・・無念の響き、嘆きの風を凍らせて 忘却の真実を語れ… ブリザガ!」

バキバキバキ という音を立ててロックの手により解放された氷は、一直線に敵へと走っていく。

(流石・・あの時に魔石ヴァリガルマンダで覚えた甲斐があったってもんだなぁ)

と改めて思うロック。

「あんたの方がすごいと感じるんだけど・・」

「言っとくが、俺の場合は詠唱を全部言わなきゃ魔法失敗するんだぜ?ティナは違うんだけどな・・」

「へー。私の魔法は全部自分で創ったんだけどね」

「!? そんなこともできるのか・・・」

世界は広いなぁ と改めて感じたロックであった。

「さぁ、お宝もゲットしたし、町に帰りましょ!」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



夜になると冷ややかで、でも町はそれでも活気に溢れていた。

しかし、そこに佇んでいたのはそれをも飲み込もうとする・・一人の男であった。

男は一つの部屋を見ていた。

それは紛れも無く今から起きる前兆だった。



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