「何故だ! 何故だ! 何故だっ!」
怒り狂いながら、神はクリスタルパレスに戻ってきた。
周囲には呆然と見つめる人間達。
「お…おい…どう―」
どうしたんだ、と気軽に声をかけようとするロック。
だが、ぎろりとホルンに睨みつけられ、身体が怯える。
そしてライルの目の前に立つ。
呪文を呟き、ライルの周囲にあったバリアを解いた。
そして優しい瞳でライルを見つめる。
「どうしたの…? ホルン」
「共に行こう、ライリア。 この世界をヒトから解放する」
「!! それは!!」
驚愕する人間達を完全に無視してホルンは話し続ける。
「もうお前を失うのは嫌なのだよ」
「…え…? どういうこと?」
「お前は3人目のライリア=フォースだからだ」
「!!」
更なる驚愕を与えられた人間達。
「1人目は巨人族のエイオンに殺された。 そして私は実験体にされ、報いをしてエイオンを絶滅させた。 だが、私は一人は嫌だった。 だからこそ、ライリアを骸から再生させて、2人目を造った」
その優しい声に対し、呆然としながらもライルは聞いていた。
「そして2人目は滅者共に殺された。 そしてお前は…。 まぁこんな話などいい。 共に行こう」
そうしてホルンはそっと手を差し出した。
だが、ライルはふるふると頭を左右に振る。
「駄目…。 駄目だよ」
そしてライルは外を見た。暗黒に包まれていく空を見て、ライルは感じていた。
「ミントお姉ちゃんも、誰かの…男の人も泣いてる。 私だけ…逃げられないよ」
「駄目だ! そんな奴等は全て私達の敵だ!!」
「なんでそんなこと言うの!!」
突然大きな声で叫んだライルに対し、ホルンは身体を震わせた。
「私達が助けないと皆苦しむ! そんなの…そんなの嫌だ!!」
ホルンは困り顔でライルを見つめていた。
「私は助けたいの、ホルン!」
気合と助けたいという意志の瞳でライルはホルンを見つめた。
ホルンはその瞳を見て、溜息をついた。
「…分かった。 異界の人間共、そこから下がれ」
先程の狂った怒りの神を見たからか、言われたとおりに周囲にいる人は全員そこから下がる。
そして地面にある魔法陣が光りだした。
その光が消えた刹那、二人の姿は消えていたのだ。
二人の姿は何やら木々に囲まれた神殿にあった。
そこが良く分からないライルは周囲を見渡す。
「もうすぐ、私の本体がいる間に着く」
「ホルンの…本体?」
「ああ。 私は時を待っていた」
「…どうして? 何で?」
「それは中に入れば話してやろう」
綺麗な刺繍が施された扉を開き、そこをライルとホルンはくぐり抜けた。
そしてそこにいたのは巨大な馬のような存在。否、伝説に残るユニコーンの姿に良く似ている。
足はしっかりと指として分かれており、金色の鬣はさらりと爛れている。
耳は通常の馬とは違い長く、青い瞳はただ単にライルだけを見つめていた。
【これが、私だ】
ライルもまた、美しい姿のホルンを見上げていた。
【すまなかった。 お前を…少し試していたのかもしれない。 …これでは2人のライリアに頭が上がらないな】
そして、先程の話だが とホルンは話し続ける。
【お前は私が蘇らせたのではない】
「!!」
【お前は太陽神により、生み出された存在。 私が欲するライリアとはまた違う存在…いや】
ホルンは天井を見上げる。
【お前は遺伝子は太陽神、身体はライリアという混合体なのだよ】
「…じゃあ…」
【だからこそ、媒体として機能するやも知れないな。 私はお前を欲している。 お前は先程言った通りに世界を…ヒトを守りたいか?】
ホルンの言葉に、ライルはこくりと頷いた。
【良い瞳だ…。 乗れ】と、ライルに言う。
そしてホルンはライルが乗りやすいように首を地面につけた。
ライルは鬣をつかみ、よじよじと登っていく。
頭にある角をしっかりと掴んだのを感じたのか、ホルンは頭を上げた。
刹那、ライルの身体が震える。
背中が痛み出したのか、ライルは背中に手をあてた。
【それは私からのプレゼントだ。 受け取れ…ライリア。 そして共にはためかせよう、翼を】
ライルの背から翼が出た。
美しい金色の翼。それを自分の意思で羽ばたけることを知り、ライルはこくりと頷いた。
「…うん!! 行こう、ホルン!」
その言葉に答えるように、ホルンの口から光の光線が放たれる。
壁が壊れ、そこから飛び出すかのようにホルンは空へと飛んでいったのである。
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