「ライルは何処にいるか教えてッ!」
そう言い放ってくる彼女の瞳を見つめる。
決意を新たにしたのか・・・強い瞳なのは明らかだ。
人間ではないと言い放った彼女の正体は一体何なのだろうか?
そして何故 人間共と平気で居られるのか?
私には良く分からない。
ただ強い瞳は私をも魅了している。
その魅了を振り切り、私はこう言った。
「教えて欲しいか?ライルが今何処にいるかを」
ばさりと広げられた翼は空を切る。
私が呼んだ緑色の竜は旋回しつつ私のみを見つめていた。
「これって・・・?」
「私が話した 紫龍。これに乗って私が住む城まで行く。・・しかし・・」
そういって彼女を見つめる。
「これは懐いていないと、体中にある毒を放出し、殺してしまう。だから・・―」
そう言って魔法を詠唱しようと思った刹那。
「宜しくね!紫龍!」
「・・!!」
いつの間にか私から離れていた彼女は懐いてもいない紫龍に触れようとしていたのだ。
そんな彼女を見つめる紫龍。
彼女の溢れる魔力を見たのか、それとも勘なのか・・・。
ひと鳴きした。
「・・・紫龍に懐かれた・・?」
そのひと鳴きは懐いた証拠だ。
しかし、一体何故紫龍は彼女に懐いたのだろう?
やはり正体が原因なのか?
紫龍に乗る私たち。
「そういえばお前の名を聞いていなかったな・・」
「私の名前はティナ=ブランフォード」
それが、私と彼女との出会いだった。
空を飛び、目的地を一直線に行く翡翠の竜。
日が差し込み、眩しいながらも飛んでいく。
そして目の前にあったのは・・・私が住む城だった。
* * * * * *
そんな美しい姿を見つめている一人の少年がいた。
少年は木の上に座り、微笑していた。
「まさかこんな風になろうとは・・ね?ライリア=フォースの方にも異変があったし。もう少し楽し―」
言葉を中断し 一つの気配がしたので後ろを振り向く。
「なにをしているのかとおもったら・・・」
そういったのは美しい男だった。
白銀の短めな髪、桜が今咲いたような瞳。
そして黒い黒いマントをばさりと風になびかせていた。
「この世界の始祖神の復活をするとかサン様がいっていたのにまだこんなところで・・・」
はぁ、と男は溜息をついた。。
そんな彼とは裏腹に少年は唸りながらも言葉を発する。
「ハル〜・・・そうは言ってもさ〜。それだけじゃ、甘すぎない?というか 何でハルが来る必要があるのさ!」
「ん・・・暇になっちゃってさ。ラゥ君も救出したし・・・それに・・・」
「あ、彼女とは和解したの?」
「えへへ・・・まぁ・・・」
と、褒められたように頬を赤く染めるハルという男。
「そうなんだ、それじゃあね」
「ちょ・・・」
颯爽と去っていく少年に対し「伝言伝ごーん!!」と高らかな声で叫んだ。
「サン様が怒ってたから途中でもいいから早めに戻ったほうがいいよ〜!!」
そういったがそのまま立ち去ってしまったようで。
はぁ、とハルはまた一つ溜息をつく。
「やっぱりそうだよねぇ・・・。というか僕はまた怒られるのか・・・」
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