崩れていく建物を私達はただ只管出口を目標に走っていった。

いきなり私の中で声がした。

父の・・最期の声。

お前はいなくならないと言っていたけど・・本当だったんだね。でももう私には大切な宝物はなくなった。

それからはいつも繋がっていた仲間と共にする事が多くなった。

それすらも刻が経つほど、どんどんとなくなっていった。

私は・・・「皆忙しいから」と自分に言い張った。

でもロックはセリスさんと結婚したんだよね。

結局、私はまた・・・。



目が覚めると 綺麗な朝日が昇っていた。

小さな窓からは森が永遠に続いているかのようにざわざわと音を立てている。

「起きたか」

そう言って来たのは 紛れもなく私達としては強敵のフォルス。

「皆・・・は・・・」

「お前と同じように生きている。私は闇の者だが、「生」の力には敏感でな。場所までは特定はできないがお前を含め、あの人間達は生きている」

「・・・そう・・・でもなんで私だけ・・・」

「そう。お前に一つだけ質問をしたくてな」

「質問?」

そう言って私の顔にふわりと触れた。

「何故そのような寂しい顔をしながら私を見る?」

そうだ。私は昔の私を見つめているかのようにフォルスを見ていた。

人間の欲望、実験材料、全てを破壊するほどの力。

紛れもなく、フォルスが私と同じモノを持っている。

そして孤独も・・・。

「・・私も・・・昔、貴方と同じ実験材料としていた」

「・・・・・・」

「・・・人間に操られ 全てを火の海にしていった。そしてある特別な任務でやっと自由になれた・・その時から、私の本格的な旅が始まって・・。でも私は・・・人間という生き物を許せなかったかもしれない」

「だったら―」

「でも私は信じたいよ。自分は生きてきてよかったと思いたい」

だから・・・。

「ライルは何処にいるか教えてッ!」

私の決意は変わる筈が無い。



前を進んでいるロックたちを信じて・・。

私も前に進んでいくよ。



いつか未来は良い方向へ進んでいくと信じて・・・。





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