私は王宮の外に出て、風を感じていました。

「何をしているのだ?」

そう父様が言ってきていましたが、振り向くことなく、私は言います。

「もうすぐ私の大切な人たちがくると思って」





あれから3年。

シンさんたちは自分の世界に戻りました。

カイルさんとも離れましたが、あの人とはまたいつかどこかで会いそうなのです。

何ていうんでしょうか。なんか運命的な繋がりというか。一心同体的な感じがするので。

でも、いつかあったら、今度はもっとカイルさんのことを知りたいな、と思ってみたりもするのです。

その時、シンさんも一緒に来るだろうと思いますが。今度はオメガさんのことも知りたいと思っています。



そして、フォウルさんと小さなウィジュさんは旅を続けているとのことです。

というのも、「旅をしてみればどうでしょうか」と言ったのは実は私なのですが。

以前、カイルさんが言っていました。「旅をしてみれば自分のことが分かる」と。

フォウルさんはそうすることは決めていたといってました。

そしてウィジュさんは、私とは違って幼い姿になってました。

突然見たので驚きましたが、それがウィジュさんの本当の姿だとしたら・・・私は微笑んでました。

二人に何があったのか、私には分かりません。

でも彼らにもやっと風が吹き始めたような気がします。

私はというと・・・兄様に告白をしました。

兄様は「考える時間をくれ」というので、私は静かに待っていましたが。

まぁ、結果は分かっていたとおり、ふられました。

こうなることは分かっていましたので、そんなに悔いはなかったのですが。

それとは裏腹に、まだ兄様は姉様が亡くなったことについて悔やんでました。

『俺が・・この手で・・・』

『分かっています。ですが、姉様は幸せだったと思います。

私はカイルさんと共に「神」について考えながら旅をしてきました。

皆、皆で自分を縛って それを「当然」だと考えていたのです。姉様もそうだったと思います。

兄様。だから・・・私とは一緒にならないでください』

『・・!?』

『本当は、私は兄様のことが好きなんです。でも、今の兄様を見ていると・・・心が苦しいのです』

『・・・ニーナ』

『だから、いつものまま、行きましょう』

『・・・すまない』

未婚の身の私です。

でも、最近はそれでもいいかなと考えていたりもします。

それに・・・。

「人生は山あり谷あり・・ですかね」

「・・・?」

父様は疑問符を出しましたが、そこはにこりと私が微笑んで。

さぁ・・・と、いい風が吹いています。





ふわりと潮風が吹いた。

「いい匂い・・・」

そう言っているのは、食いしん坊な幼きウィジュだったりする。

そしてウィジュが言っているいい匂いの正体は・・焼き魚。

確かにウィジュの言うとおりいい匂いがすることはする、が。

「買うのか?」

「食べたいと思っただけだよ。大丈夫」

と、ウィジュは言ったがお腹は正直者らしい。

小さく くぅ、と鳴った。



皿に焼き魚を乗せてもらい、座れる所で私とウィジュはそれをほおばる。

「おいひぃね」とウィジュは笑顔を見せる。

あれから3年。

「うつろわざる者」は私とウィジュ、そして『青の災害』以外全ていなくなり、私もウィジュと共に世界を旅している。

しかし、旅をしていて思うのは、「神」の時の私の世界が本当に狭かったということ。

あれだけ美しい自然も、見たことがない。

彼女も・・本当に変わった。

一つ一つの幸せをかみ締めるかのようにウィジュは微笑を絶えなくなってきた。

あの時の悲しみも苦しみも、全て吹っ飛んだかのように。



さぁ・・といい風が吹く。

なぁ、「リュカ」。

コレがお前が見ていた「世界」なのだな。

そうだよ、という声がどこからかそっと聞こえてきた。





本当に。

世界は・・とても美しい。



































Fin





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