「・・・リュカ・・ですか・・?」

私は 金のさらさらな髪の人に向かって言いました。



ここは「神」が現れたという召喚の間。

リュカ、私と残る4人、計6人でここを目指しておりました。

そしてリュカはもう一人の自分「フォウルさん」と向かい合い「神」となったのです。

そんな「神」に向かって私は尋ねました。



さわりと、そこに草原があるかのような音が聞こえてもいいほど、「神」は神秘的でした。

こんな美しい人は見たこともありません。

そんな眼差しで「神」を見ていた時、彼は言いました。

「・・リュカ・・?」

その声を聞いて、私は ぞくり としました。

鈴のようなどこかに消えそうな声でした。

しかし、そこにあったのは「うつろう者」に対しての・・闇だったと私は思います。

それに ぞくり としたのは私だけではありません。

他の4人・・。

兄様も、マスターも、サイアスさんも、アースラさんも。

そんな私たちの反応を見て「神」は綺麗に微笑しながらも、ふわりと声を続けました。

「リュカでもフォウルでもない」

何かに満足した面持ちでした。

まるで、標的を見つけた獣のようでした。

「私は誰でもない」

その声で何かが目の前に現れました。

それは大きな大きな竜でした。

それは綺麗で、差し込んでくる夕焼けを反射し、

キラキラと竜鱗が輝いてました。

「うつろう者達よ、さよならだ」

黒いブレスが私達を包み込みました。

あんなに綺麗なのに・・何故、ブレスは黒いのでしょうか?

多分、フォウルさんの悪意・闇の心を含んだブレスだったんだと私は今思います。

私はその痛みで思わず悲鳴を上げました。

何かを失った悲しみ・・・何かを信頼することが出来ない過去・・・「うつろう者」の闇を見続けてきた旅路。

そんな痛みが私達を襲いました。

痛い・・・・痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

それでも・・・あの中にリュカがいることを信じて・・・立ち上がりました。

「まだ生きていられる・・か」

大きく美しい竜は もう一発あの黒いブレスを吐きました。



その時でした。

声がしたのです。

『リュカ』の声が・・一瞬。

それは寂しそうで。

それは苦しそうで。

『・・・ニーナ・・・』



それを聞いた時、足元・・つまり地面が割れました。

「リュ・・・」

それでも私は『リュカ』に手を伸ばしました。



ああ、リュカが其処にいるのに。

もうすぐまた君に会えるのに。

あったら、また君の笑顔を見れるのに。

運命とはなんて過酷で苦しいものでしょうか。



「リュカあぁぁぁぁぁぁ!!!」

地面が消え行く中、私は叫びました。

『リュカ』に向かって。



その後は目の前が真っ暗になってしまったのです。





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