一人の少女の目の前には血が滴る人形のようなものが二つ。
それを呆然と、しかしそこにそれらがあるのが当たり前のようにそれを少女は見ていた。
後ろからがさりという音がした。
「やはり遅かったか」
男はそういった。
特徴的な黒い髪と銀の瞳がぎらぎらと輝く。
それを少女は綺麗にも思い、同時に怖いとも感じていた。
「怖いか?」
その言葉に少女はびくりと体を震わせる。
「貴方は・・・だれ?」
「私はフォルス」
「私は・・・」
「知っている」
フォルスと名乗ったその男はそう言い、少女に手を差し出してきた。
「さあ行こう。ここにいても仕方がない」
そういったフォルスの下には血が滴る人形があった。
それは絨毯のように。はたまたそれがそこにないかのように。
それが怖いのか、少女はそれを見、後ずさる。
「嫌・・・」
「何が嫌なのだ?」
「嫌なものは嫌!」
そういい、少女は外へと走り去っていってしまった。
*****
フォルスは家の最後の主が出て行った家の中を見てみる。
そして人形に告げた。
「お前達もご苦労だった。しかし、私たちを造らなければこんなことにはならなかったのにな。哀れで悲しい人間よ・・・」
そしてフォルスは呟き始め、空間の溝が生まれた。
「消えろ、人間」
そう言って人形が消えるまで微笑しながらその人形を見ていた。
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